はるか昔‥大魔王が君臨していたころ‥
力強き女勇者とその盟友が大魔王を滅し世界に平和をもたらした。
それから幾百の年月が過ぎただろうか。
何だかんだあって、この世界には魔王が蘇ってしまった。
魔王が蘇ってしまったこの世界は空間がねじれ、本来いるはずのない世界の人間も突如現れ、共にこの世界で生きていた。
-ここはアリナハン大陸-
アリナハン城の南にひっそりと存在する村
「シケタ村」があった。
母
起きなさい!起きなさい、もう朝ですよ!
アンルシア
ん‥あんま寝てないんだからさ。ほっといてよ。
彼女の名はアンルシア。自称・勇者ワクテカの隠し子であった。かつて世界を大魔王の手から救った勇者姫アンルシアから名付けたという。
母
いい加減にしなさいッ!今日がどんな日か分かってるの!
アンルシア
なによぉ‥
母
今日はお城に行って、お目通りする日でしょ!
アンルシア
!!?? しまったぁ!? 今日だった!?
母
早く支度して行ってきなさい!
アンルシア
冗談じゃないよー!
アンルシアは一目散に逃げ出した!
母
甘いッ!
アンルシア
グハッ!!!?
母
まだまだね。
アンルシア
な‥何したの、カーチャン‥!
母
毒針よ。急所は外しといたわ。
アンルシア
う、動けなぃ。
母
この日のためにお前を勇敢な子に育て上げたつもりだったのに、逃げだそうだなんて母さん許しませんよ!
アンルシア
だ‥だってあんな紙切れ一枚でアタシの人生がどうなってもいいの‥!?
そう、それは一週間前のこと‥。
アンルシア
カーチャン、ポストに何か入ってたよ。
母
ハッ!? ついに我が家にも‥。この時が来たのね。
アンルシアの母が受け取ったものは、アリナハン国からの「特命書」であった。特命書にはこう書かれていた。
「魔王を倒した勇敢なる者に50000Gくらい与え、アリナハン国の英雄とする(予定)」
母
母さんから逃げられると思ってるの?
アンルシア
だってさ、魔王なんて絶対倒すの無理だって!
母
また母さんのベギラマくらいたいの?
アンルシア
い‥いいえ。すみませんでした。
母
そうでしょう。だったらお城に行ってちゃんと挨拶してきなさい。
アンルシア
そ、そんなことより、早く薬草を‥。
母
あんた、まだホイミのひとつも使えないの?魔法の契約は済ませたはずでしょ?
つづく
次回「一国を担うおてんば姫」
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